久米靖
2021.06.24
二十四節気と昔話① 夏至・『河童の駒引き』
みなさん、おはようございます!
Cast Power Next所属の久米靖です。
さて、演技にも通じるボクたち日本人の感性は、四季の移ろいがはっきりした日本の自然に育まれたものと言えます。
日本人が持つ豊かな季節感がわかるものに「二十四節気」というものがあります。
現在でも使われている季節を区分する4つの言葉、春分・夏至・秋分・冬至。
これらを含み、1年を24等分にしたのが「二十四節気」。
元々は古代中国で考案されたものですが、日本人は古くからこの「二十四節気」を暦に取り入れ、季節の指標にしたのです。
それぞれの意味を知れば、日本人がいかに自然と共に生きてきたのかということがわかります。
そしてこの日本の四季と、古くから伝承されてきた昔話・民話には密接な関係があります。
昔話の多くは四季の彩りに溢れていますが、それは自然と共生してきた日本人の感性がそのまま物語の中に脈づいたもの。
これから、それぞれの「二十四節気」に沿ってその季節が舞台となっている昔話を紐解いていきたいと思います。
第1回の今回は、「夏至」(6月21日~7月6日)。
「夏に至る」と書くように、この日を過ぎると本格的な夏の到来です。
ニュースでも流れていましたが、6月21日は北半球では太陽が1年で最も高い位置にきて、昼間が一番長い日でした。
冬至の日と比べると、北海道の根室で約6時間半、東京では約4時間40分も長いそうです。
さて、この「夏至」が舞台となっている昔話の一つが『河童の相撲』です。
背中に甲羅を背負い、頭の上に皿を載せた独特のスタイルをした河童は、夏を感じさせてくれる妖怪ですよね。
■『河童の駒引き』あらすじ
河原で昼寝をしていた河童が目を覚ますと、馬が2、3頭そばで草を食べていた。
河童は喜んで馬の尻尾をつかまえ、住みかの淵に引こうとしたが、昼間の間に皿の水が乾いていたので神通力を失い、馬に引かれて村の親方の馬小屋に入ってしまった。
河童は驚いて馬草桶をかぶって隠れた。
親方の下男たちは馬が早く帰ってきたので不思議に思い、馬小屋を覗いた。
すると馬草桶の下で動くものがあったので、引き出して押さえてみるとそれは河童であった。
河童は成敗されそうになったので、「今度からは決して子供や馬にもいたずらをしないから助けてください」と謝り、やっと解放された。
その後、このあたりで河童はいたずらをしなくなったという。
夏は、普通の人間が立ち入ることのない「異郷」との接点が広がる季節です。
この河童の話でいう「異郷」とは、子供が近づいたら危険な川の淵のこと。
してはいけないこと、近づいてはならない場所をさりげなく教えるというのも昔話の役割であったようなのです。
おとぎ話の例では、浦島太郎の竜宮城、桃太郎の鬼が島などが「異郷」ですね。
危険である反面、思いもよらない宝や幸せを手に入れる可能性も秘めた場所でもあります。
さて、ボクたちにとっての異郷「芸能界」は果たしてどんな場所なのでしょう?
※添付のイラストはフリー素材です。
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