久米靖
2021.08.26
二十四節気と昔話⑤ 処暑・『ぶんぶく茶釜』
みなさん、おはようございます!
Cast Power Next所属の久米靖です。
二十四節気と昔話、5回目は「処暑」(8月23日~9月6日)。
「処暑」とは、厳しい暑さの峠を越した頃です。朝夕は涼風が吹き始め、秋の気配を感じます。
心地良い虫の声が聞こえ、穀物も実り始めますが、台風シーズンが到来します。
この時期を舞台にした昔話の一つに『ぶんぶく茶釜』があります。
実りの秋にふさわしく、明るい話ですよね。
■『ぶんぶく茶釜』
昔あるところに、貧乏な爺さまがいた。
ある日、いつものように町の中を歩いていると、三人の子供がタヌキの首に縄をつけていじめているのに出くわした。
爺さまは可哀そうに思い、タヌキを助けてやった。
その夜、助けたタヌキがやって来た。
「おら、爺さまに礼をしに来た。金の茶釜に化けてみせっから、おらを高う売ってくだされ」
そう言うと、タヌキはクルッととんぼ返りをして、立派な金の茶釜に化けた。
次の日爺さまは、その茶釜を茶釜好きの和尚さんのところへ売りに行った。
和尚さんは茶釜を買うて、小僧に湯を沸かすように言いつけた。
小僧さんは茶釜を囲炉裏の火にかけた。
とたんに、
「アチチッ! アッチッチ!!」と声がして、茶釜から手が出て足が出て、座敷中を飛び跳ねた。
和尚さんは「この茶釜は化け物じゃ!」と、爺さまに茶釜を返してよこしたと。
爺さまのところへ戻されたタヌキが言うには、
「今度は茶釜が綱渡りをして見せるけえ、見せ物にして設けてくだされ」。
それを聞いた爺さまはタヌキを町に連れて行き、見せ物小屋で芸をさせた。
「さあさあ、寄っておいで、見ておいで! 珍しい茶釜の綱渡りだよぉ~、そーれ!」
爺さまの叩く太鼓に合わせ、タヌキの茶釜は綱渡りやどんぼ返りをしてみせた。
これが大評判となり、どこの町でも大入り満員。
爺さまはたいそうな金持ちになったと。
人間に命を助けてもらった動物が恩返しに来て、人間を援助してくれる話は昔話によるあるパターンです。
「ぶんぶく」とは、「分福」。
文字通り、“福を分ける”という意味ですね。
愛らしいタヌキが登場する和やかなストーリーは大変人気がありました。
綱渡りの見世物で人気を一手に引き受けるタヌキ。
ボクたちも喝采を浴びるような特技を身に付けたいものですね(*^^*)
※イラストはフリー素材です。
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